ニューロサイエンスPJ 事業

主任研究員 川島 浩史 アスレティックトレーナー(AT)

「脳神経科学×スポーツ医科学で人々の未来が変わる」
私がそう考えるようになったのは「運動オンチの子ども達、その親御さんとの出会い」と「我が子の育児」、「アスリートセカンドキャリア事業」を経験したからです。

「運動オンチの子ども達、その親御さんとの出会い」

運動が苦手だったその子は「自分は運動が苦手だ」「運動は楽しくない」「周りから笑われて恥ずかしい」という思考回路から「できない」「やらない」が口癖になり、自己肯定感や自己効力感が低い状態でした。親も一生懸命に育ててきた子どもが運動が苦手で心を閉ざしている姿を見て、自分たちのせいではないかと悩んでいる状態でした。
その相談を受け、3 ヶ月間トレーニングすることになり、運動神経を向上させるためのトレーニングを子どものやる気に火をつけながら、身体を動かすポイントを意識させ続けることをメインにトレーニングを繰り返しました。すると徐々に思い通りに身体を動かせようになり、3 ヶ月後には友達と楽しそうに運動をするようになっていました。「できない」「やらない」という口癖も無くなり、「やろうよ!」と言えるようになっていたのです。そして徐々に前向きになっている我が子を見てきた親は、「日々息子の言葉の変化を感じるんです。本当に良かった」と喜ばれていました。 このような経験から私は、アプローチ方法をもっと追求していけば、「子どもや親の未来を確実に変えることができる」と考えるようになりました。そしてやる気も身体を動かす能力も全ては脳が情報を受け取り考え、神経を通じて身体に命令を出しているとするならば脳神経科学が根源であるという結論に至り、学び始めました。

「我が子の育児」

我が子が誕生し、発達発育の観点で成長が正常なのかどうか、不安を抱える場面が多々ありました。首の座りや歩行、発語など不安点を調べれば調べるほど脳神経科学との関係が深く、理由や解決方法が分かると安心感が生まれることに気づきました。
お腹にいる生前、生まれた後の0 歳から脳と神経の関係を知っているだけで発達発育の見方や育児の方法が変わってきます。しかし、ほとんどの親御さんは脳神経科学の情報を知らずに、不安なまま生活をし、同じように悩まれている方が多いです。
様々な悩みを抱えている親に脳神経学の情報を提供し、子どもにアプローチをしながら、悩みを共有できる場があれば「親や子どもの未来を変えることができる」と考えるようになりました。

「アスリートセカンドキャリア事業」

スポーツに集中してプロアスリートまで上り詰めたが、引退後に何をやって良いか分からず、人任せに未経験のビジネスをやり、うまくいかず、自己破産してしまう選手等がいることを知りました。
そこで幼少期からの脳神経科学を応用したトレーニングに必須な『考える』ことを重視・恒常化し、学生時代から何事に対しても考え、学び、自分で判断できるような脳を準備し、アスリートの現役中から本業以外でも活躍し、引退後のセカンドキャリアでは更に飛躍した活躍ができるようになってほしいと思うようになりました。そのためには、自己肯定感や自己効力感などを高めるテクニックや習慣化するテクニック、情報収集し、選択肢の中から最善の判断をする思考回路構築テクニックなど幼少期か ら脳神経科学を応用した育成プログラムに触れて、その理論を知り、重要性を認識して取り入れて成長していくことが大切であると考えています。

以上の思いから、最新の脳神経科学とスポーツ医科学の運動を組み合わせたプログラムを作り上げ、体系化することによって、日本の子どもたちの『運動オンチ』を無くすことができ、尚且つ脳神経科学を用いた指導により、子どもたちの『考える力』を伸ばし、一般社会に出ても通用する人材の育成にまで発展すると考えています。
そして、今回は低年齢の子どもたちのトレーニングプログラムの開発をいたしますので、保護者同伴での運動も多くなり、脳神経科学の観点から発達発育学・育児・運動についての情報も提供する、親子・家族を巻き込んだ教育型教室の開催を予定しております。

脳神経科学を応用した運動プログラムと指導方法は、運動神経を向上させるだけでなく、人を育み、多くの子どもや親御さんの悩みを解決し、人生を変えることができると確信しております。そしてそれが日本の育児・教育・健康の社会問題に一石を投じることにも繋がると思い、今回このプロジェクトを立ち上げることにしました。

■脳神経科学×スポーツ医科学トレーニングとは

身体は脳から指令を受けて動きます。また思考や人間力の根本は生まれてから脳がどのような教育 を受けてきたかで決まります。つまり人間は脳がコントロールしているのです。 その脳をどのようにコントロールしていくのか、どのように脳を教育していくことが効率的なのか、脳からの命令を正確・的確に身体へ反応させるためにはどうしていけば良いのか(運動神経)などを脳神経学の観点から考え、脳にとって最適な指導方法で運動・トレーニングを行っていきます。

また脳神経学者とスポーツ医科学に精通したアスレティックトレーナーによる共同開発される画期的なプログラムとなります。 また脳神経科学は様々分野に応用でき、ドライバーの安全運転、野球選手やゴルファーに多いイップス、音楽演奏家のジストニア、認知症など脳神経科学が深く関わっているとされています。様々な問題に対して、脳神経科学×スポーツ医科学という新しい観点から、脳神経学の専門家と共に未来を作り上げていきます。

【事業内容】
1. 運動オンチ撲滅プロジェクト
  1) 0才から3才の運動神経トレーニング教室
  2) 4 才から6 才の運動神経トレーニング教室
2. キッズ&ジュニアスポーツの運動神経トレーニング教室
 (野球、サッカー、ラグビー、テニス、スケートボード、スノーボードなど)
3. 保護者向けの育児に必要な脳神経科学情報の発信(SNS)
4. 保育園・幼稚園施設向けの脳神経科学を応用した運動プログラムの支援
5. 運動神経評価プログラム・アプリの開発
6. 「ジストニア」「イップス」などの脳神経学が関わる難病の改善プログラムの開発
7. ドライバー向けの運転神経コンディショニングプログラムの開発
8. 運転神経評価アプリの開発
9. 認知症予防プログラムの開発
10. 脳神経科学トレーニング施設・研究機関の開設と国際交流